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ものづくり基礎知識35 材料を溶かして加工② レーザ加工と放電加工
2023年11月17日
前回に引き続き、光や電気あるいは化学反応によって工作物を溶かして加工する特殊な加工方法を紹介します。
今回は光を使うレーザ加工と電気を用いる放電加工を取り上げます。
材料を溶かして加工する特殊加工
前回ご紹介したように、工作物を溶かす特殊加工には下記のような種類が存在します。
- エッチング:薬品による化学反応を活用し溶かして加工
- 3Dプリンタ:あらかじめ溶かした材料を多層に積み重ねる加工方法
- レーザ加工:レーザ光を用いて加熱して溶かして加工4. 放電加工:電気を流し、放電効果で過熱して溶かして加工
- 放電加工:電気を流し、放電効果で過熱して溶かして加工
レーザ光のエネルギーを熱に変えて工作物を溶かすレーザ加工
レーザ光は太陽光などのさまざまな波長が合わさった光と異なり、単一の波長であるため光が拡散しません。
高エネルギーになるよう高密度に集約したレーザ光を金属などの工作物に照射し、発生する熱で融解・蒸発させて切断したり穴をあけたりするのがレーザ加工です。
この加工方法の仕組みとしては、レーザ発信機で発生させたレーザ光を、反射ミラーなどを通じて集光レンズで収束させて工作物に照射させることになります。
レーザ加工には下記のような特徴があります。
- バイトやエンドミルといった切削工具が不要
- 工作物に力が作用せず変形が生じにくい
- 工作物の発熱量や部位も限られ、ひずみが小さくなる
- 硬度の高い金属などの工作物も加工が可能
- レーザ光の移動や速度をプログラムで自由に制御、設計できる
- 切り代が少なくなるためコスト面でメリット
- 複雑な形状や微小な加工に問題なく対応可能
また、レーザ加工では工作物を加熱することで除去、接合、焼入れの加工が可能になります。
除去では工作物の特定箇所を熱で蒸発させることで切断や穴あけ、マーキングを行います。
接合ではレーザー光の熱を用いて金属などを局所的に溶かして溶接させたりろう付けさせることになります。 また、レーザ光の熱を焼入れの熱源として利用することも可能です。
電気エネルギーを熱に変えて工作物を溶かす放電加工
仕組みはアーク溶接と似ていて、電極と工作物に電気を流すことで狭い空間での放電を通じて高熱の火花を発生させてその熱で溶かす加工方法です。電気が流れる素材であれば、極めて硬い材料であっても精密な加工が可能になります。
放電加工にはとくに「形彫り放電加工」と「ワイヤ放電加工」があります。
形彫り放電加工とは電極の形状を工作物に転写する放電加工のことで、加工したい形状を反転した形状の電極が必要になります。水や灯油の中で電極を放電させて火花を起こし、その熱で工作物を溶かして加工を行います。
1ミクロンレベルでの精密な加工が可能で、カメラやレンズなどの精密機器、家電製品、輸送機部品などさまざまな製品を製造するための金型を用意するために用いられることが多い加工方法です。
一方でワイヤ放電加工はワイヤ状の細長い電極(直径0.2~0.3mm程度)を使用する加工方法で、ワイヤの放電で発生した熱で工作物をとかして切断していきます。
放電加工でも1ミクロン単位での精密な加工が可能で、また加工に用いる工具がワイヤのみであるため多様な工具を必要とする手法に比べてコストがおさえられる点もメリットです。
ヒガメタルは大田区のものづくり企業として、多種多様な加工のご依頼をお引き受けしています。
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