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ものづくり基礎知識13  銅と銅合金

2021年9月15日

人類が初めて人為的に活用した金属が銅と言われています。

鉄と比べても溶融温度がかなり低く、太古の昔から鉄鉱石から取り出して使われてきました。

現在は加工性や耐食性の良さや導電性と熱伝導率の高さを活かして、硬貨や鍋などの調理器具、電気配線用の銅線、船舶の部品や精密機器部品などに使用されています。

今回はそんな銅と銅合金をご紹介していきます。

銅と銅合金の特徴と性質

銅は鉄鋼材料と比べて、以下のような特徴を備えています。

銅と鉄の性質の比較
性質 単位 銅(黄銅) 鉄(SS400)
密度 ×103kg/㎥ 8.92 7.87
引張り強さ N/㎡ 355 400
硬さ HV 85以上 120前後
縦弾性係数 ×103 N/㎡ 103 206
導電率 ×106 S/m 59 9.9
線膨張係数 ×10-6 /℃ 18.3 11.8
熱伝導率 W/(m・k) 398 80
融点 1083 1530

導電率の高さ

銅の最大の特徴で、電気をよく伝えます。銀に次ぐ導電率の高さで、銅線として電気配線に活用されます。導電媒体として、精密機械やスマートフォンにも利用されています。

熱の伝わりやすさ

熱伝導性の高さも銅の特徴です。鉄鋼やアルミニウムよりも熱を伝えやすく、銅の調理器具では全体に熱が伝わりやすいため食材をまんべんなく加熱することが可能になります。

また、産業機器や電化製品で発生する熱を処理するためのヒートパイプにも銅が利用されます。

加工性の高さ

銅は鉄鋼材料などと比較すると柔らかく、伸ばしたり押し込んだりして変形させやすい金属で、銅線・銅板・銅管・銅棒と様々な形状に加工が可能です。

切削加工や圧延加工にも適した材料で、複雑な形状や細かな細工なども施すことができます。また、メッキ加工やはんだづけも容易で、用途に合わせた加工を施します。

耐食性の高さ

銅は表面に酸化膜を形成して不動態化されるため、他の金属材料に比べ安定していて腐食しにくい材料です。

海水にも強く錆びにくいため、船のスクリューなど船舶の材料にもしばしば使用されます。

非磁性

多くの金属は磁石などを近づけると磁化しますが、銅は磁性を生じません。

そのため、磁性の影響を受けずに計測を行うための機器や、磁性のあるものを切断するための工具などに利用されるこtもあります。

銅と銅合金のJIS記号と品種

銅のJIS記号は「C1100」のように”Copper”(銅)の後に4桁の数字をつけて表記します。

合金の種類によって1000系から7000系まで存在し、合金の種類ごとに分類されています。

銅のJIS記号
記号 合金の種類 記号 合金の種類
1000系 Cu,高Cu系合金 5000系 Cu-Sn系合金,Cu-Sn-Pb系合金
2000系 Cu-Zn系合金 6000系 Cu-Al系合金,Cu-Si系合金等
3000系 Cu-Zn-Pb系合金 7000系 Cu-Ni系合金,Cu-Ni-Zn系合金
4000系 Cu-Zn-Sn系合金

銅の品種には以下のようなものなどがあります。

純銅

純度が99.90%以上の高純度の銅を指します。純銅はタフピッチ銅(電気銅とも)、無酸素銅、脱酸銅に大別されます。

JIS記号はタフピッチ銅がC1100、無酸素銅がC1020、脱酸銅の一種であるリン脱酸銅がC1201とC1220になります。

無酸素銅は酸素がごくわずか(0.002%)しか含まれずなず、不純物も除去された高純度の銅です。

純銅は銅の性質である導電率や熱伝導率の高さが際立つため、銅線や電子機器の材料などに利用されることが多いです。

黄銅(真鍮)

銅(Cu)と亜鉛(Zn)の合金で、真鍮(しんちゅう)と呼ばれます。合金の比率によって性質が変わり、銅の比率が下がれば硬さが増しますが、銅の比率が60%未満だともろくなるため通常は60%以上のものを利用し、60%以下のものは銅鋳物に活用します。

JIS記号では銅70%亜鉛30%の70/30黄銅はC2600、銅65%亜鉛35%の65/35黄銅はC2680、銅60%亜鉛40%の60/40黄銅はC2801となります。その他、用途に応じて様々な比率の黄銅が存在します。

黄銅は電気製品や船舶など様々な用途に用いられますが、加工がしやすく複雑な形状にしやすいことと比較的安価なことから金管楽器などにも使用されています。

りん青銅

銅(Cu)とすず(Sn)の合金です。純銅に比べて強度が強く、耐摩耗性と耐疲労性にも優れ、高いばね性を誇ります。

ばね性の高さを活かして電子機器や機械用のばね材や、電子備品のスイッチやコネクターなどに使われています。

ベリリウム銅

銅(Cu)とベリリウム(Be)とコバルト(Co)の合金です。

JIS記号ではC1720で、炭素鋼を超える引張り強さを有する高い強度を持つ材料です。

加工しにくく高価なため用途は限定されていますが、高強度で熱にも非常に強い特性を活かして危険な環境下での工具、精密測定機器、宇宙開発用の材料などに使われています。

銅と銅合金のJIS記号と性質
分類 種類の記号 引張り強さ 硬度
N/㎟ HV
タフビッチ銅 C1100 245以上 75以上
70/30銅 C2600 355以上 85以上
65/35銅 C2680 355以上 85以上
60/40銅 C2801 410以上 105以上
快削黄銅 C3601 345以上 95以上
りん銅 C5210 470以上 140以上
ベリリウム銅 C1720 1240以上 180以上

注) 主要な品種の参考値。調質はすべて1/2H。JIS H 3000参照。

硬貨に使用される銅

日本国内で流通する硬貨には銅合金が使われることが多く、一円玉以外はすべて銅合金になっています。

日本の硬貨の材質
硬貨 材質 化学成分
500円玉 ニッケル黄銅 銅72%,亜鉛20%,ニッケル8%
100円玉 白銅 銅75%,ニッケル25%
50円玉 白銅 銅75%,ニッケル25%
10円玉 青銅 銅95%,亜鉛4~3%,スズ1~2%
5円玉 黄銅 銅60~70%,亜鉛40~30%
1円玉 アルミニウム アルミニウム100%

ヒガメタルで銅と銅合金の取り扱いと加工が可能です。お気軽にお問い合わせください。

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