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ものづくり基礎知識12  アルミニウムとアルミニウム合金

2021年9月10日

紀元前から活用されている鉄や銅に比べ、アルミニウムは1800年代初めに発見されたばかりのまだ見つかってからの歴史の浅い材料です。

ボーキサイトから抽出、電気分解して作られるアルミニウムは軽く加工しやすく、またさびにくい、熱伝導率に優れるといった鉄鋼材料にない優れた特徴を備えているため、現在は鉄鋼に次ぐ生産量の材料になっています。

使用用途としては軽さと耐久性を活かしてロケットや航空機・列車・自動車・自転車・船舶など乗り物や、建築物の屋根や壁面、台所用品やドリンク等のアルミ缶、またスマホやタブレットの筐体。食品や医薬品の包装材やアルミホイルなど幅広く使われています。

今回はそんなアルミニウムとアルミニウム合金をご紹介していきます。

アルミニウムの特徴と性質

アルミニウムは鉄鋼材料と比べて、以下のような特徴を備えています。

アルミニウムの性質
性質 単位 アルミニウム (A5052) 鉄(SS400)
密度 ×103kg/㎥ 2.70 7.87
引張り強さ N/㎡ 260 400
硬さ HV 60前後 120前後
縦弾性係数 ×103 N/㎡ 71 206
導電率 ×106 S/m 37.4 9.9
線膨張係数 ×10-6 /℃ 23.5 11.8
熱伝導率 W/(m・k) 237 80
融点 600 1530

軽さ

アルミニウムの最大の特徴はその軽さにあります。密度は鉄に比べてほぼ1/3になります。1 cm3あたりでアルミニウム約2.7g、鉄が約7.9gほどとなり、同じ体積の水が1gであることを考えるとかなりの軽さです。

アルミニウムが時代的にニーズの高かった航空機用の材料として広く使われ、製法が発展したのもその軽さを生かすためという側面があります。

強さ

アルミニウムは鉄鋼材料と比較すると弱くはなりますが、比強度(重量当たりの強度)が大きく、建築物の構造材料などにも使用することが可能です。

加工性

密度が小さいために切削しやすく熱伝導性も良く高温になりにくく、また薄く伸ばすことも容易なので加工性に非常に優れています。そのため、細かな加工が必要なPCやタブレット・スマホなどの筐体によく使われます。

通電性

アルミニウムは導電体として代表的な銅に比べて電気伝導率は2/3ほどですが、比重が1/3なので、同じ重さの銅と比べると2ヴぁ位の電流を伝えることが可能になるコストパフォーマンスの高い材料です。

そのため、高電圧送電線などに利用されています。

伝熱性

アルミニウムは鉄の役3倍の熱伝導率をほこります。熱を伝えやすく冷めやすく、コストも抑えやすいので鍋やフライパンなどの台所用品、エンジンなどの放熱フィン、ビールやドリンクの飲料缶など広くこの特性が活用されています。

耐食性

アルミニウムは、ステンレスと同様に大気中で表面に酸化皮膜が自然と生成されます。酸素と水をはじくため、腐食に強いのが特徴となります。表面にアルマイト処理を行い人工的に酸化皮膜を形成させてさらに耐食性を高めたアルミ合金は、建築や自動車や船舶などの強い耐食性が求められる分野で活用されています。

無毒性

アルミニウムは無味無臭で、万が一なんらかの理由で溶け出しても人体に害を与えません。

その特性を活用して食品や医薬品の包装、医療機器などに広く使われています。

再生性

アルミニウムは融点が低く、またさびにくいために使用後に溶かして再利用することが容易な材料です。

そのためリサイクルもしやすく、環境負荷の低い素材といえます。特にアルミ缶のリサイクルは日本全国ですっかり定着し、省資源・省エネルギーにつながっています。

アルミニウムのJIS記号性質
記号 合金の種類 記号 合金の種類
1000系 純Al 5000系 Al-Mg系合金
2000系 Al-Cu-Mg系合金 6000系 Al-Mg-Si系合金
3000系 Al-Mn系合金 7000系 Al-Zn-Mg系合金
4000系 Al-Si系合金 8000系 その他合金

アルミニウムのJIS記号は「A5052」のように”Aluminium”(アルミニウム)の後に4桁の数字をつけて表記します。

4桁の数字は合金元素の種類ごとに通し番号になっています。

鋳物についてはAの後に鋳造品の記号と種類を示す番号が付与され、AC2AやADC12などのように表記されます。

1000系(純アルミニウム)

1000系は純アルミニウムで、合金ではありません。純度が高いため導電率と熱伝導性が高く、加工もしやすいので日用品や電気機器、導電材などとして使われます。ただし強度や耐食性はそこまでではないので構造部品などへの使用は避けられます。

2000系(Al-Cu-Mg系)

2000系は銅(Cu)とマグネシウム(Mg)との合金です。ジェラルミンケースにしようされるジェラルミンがA2017、さらに強度を高めた超ジェラルミンがA2024となります。加工性もたかく強度もありますが、海水に対する耐食性は劣ることになります。

5000系(Al-Mg)

5000系はマグネシウム(Mg)との合金です。A5052はアルミ合金ではもっとも一般的な材料です。

加工性や耐食性に優れて強度も一定以上の強さがあり、溶接も可能とバランスよくアルミニウムの特性を備えた万能の材料で、船舶や車両、構造備品など広く使われています。

6000系(Al-Mg-Si)

6000系はマグネシウム(Mg)とシリコン(Si)との合金です。A6063も広く使われるアルミ合金で、加工性と耐食性に優れています。

複雑な断面形状を作り出すことが可能で、アルミサッシなどの建築物の内外装の材料として使用されることが多いです。

7000系(Al-Zn-Mg)

7000系は亜鉛(Zn)とマグネシウム(Mg)との合金です。代表的なものはA7075で、強度はアルミ合金の中でもっとも強い材料で「超々ジェラルミン」と呼ばれます。

強度は非常に高く高精度の加工に向いていますが、材料価格も高価ですので使用する場所を選ぶ材料で、航空機・人工衛星・ロケット・車両等の部品、金型、スキー板や金属バットなどのスポーツ用品などに使われています。

アルミニウム鋳物

代表的なものにACA2とダイカスト用のADC12があります。ダイカストは金型を用いた鋳造方法で、連続した使用が可能で生産性に優れています。車のエンジンなどの多く利用されて、車体の軽量化や燃費性能などにも貢献しています。

アルミニウムのJIS記号性質
分類 種類の記号 耐力 引張り強さ 硬度
N/㎟ N/㎟ HBW
純Al A1100 35 90 23
Al-Cu系 A2017 (ジュラルミン) 275 425 105
Al-Cu系 A2024 (超ジュラルミン) 325 470 120
Al-Mg系 A5052 215 260 68
Al-Mg-Si系 A6063 145 185 60
Al-Zn-Mg系 A7075(超超ジュラルミン) 505 570 150
鋳造品 AC2A 180以上 75
ダイカスト鋳物 ADC12 150 310 86

注) 主要な品種の参考値。JIS H 4000参照。

ヒガメタルでは各種アルミニウムとアルミニウム合金の取り扱いおよび加工が可能です。お気軽にお問い合わせください。

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