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ものづくり基礎知識31 板金加工について②
2023年2月1日
前回に引き続き板金加工についてご紹介します。 今回は板金加工の一般的な手順をご紹介します。
板金加工の手順
板金加工は大きくわけて8つの工程を経て行われます。
(1) 設計・図面展開
まずは設計図面を作成します。その際にはCADや専用のソフトを用いることもあります。 板金加工では1枚の板材から加工を行いますが、最終的な完成形を示す図面は正面・平面・側面の三面図で構成されます(第三角法)。1枚の平らな板金でどのように実現するかを展開していくことになります。材料を曲げると伸びが発生するので、その伸び幅を考慮するなどの配慮が必要になります。
(2) ブランク加工
次は展開図に合わせて設計どおりに板金の外形加工や穴加工を行います。これをブランク加工といいます。 前回ご紹介したせん段加工や、金属の板を撃ち抜いて加工するタレパン加工(「タレットパンチプレス」の略)、高出力レーザーを照射して板金の切削や旋削を行うレーザー加工などを行います。
(3) 前段加工
ブランク加工ではどうしても切断面に一定のバリなどが発生します。 以後の工程が進めやすくなるようにバリを取り除いたり、ネジ山を切り込むなどの加工を行います。
(4) 曲げ加工
前段加工まで終了した平らな金属板にプレスブレーキなどを用いて圧力を加え、直線的に曲げる手法が曲げ加工です。
わずかな力の加え方の違いで得られる角度が異なってくるため、精密な仕上がりが求められる際には非常に重要な工程になります。
板材は曲げると内側が圧縮され、外側が延びることになります。圧縮と伸びの境目を中立面と言い(図a参照)、曲げがきついと内側に寄ってきて曲げた際の寸法に影響する場合があり注意が必要です。 また、曲げ加工を行った背の部分には反り(図b参照)が発生しますので、その点も踏まえた設計を行います。
(5) 溶接加工
曲げ加工を行って意図する形状とした部品どうしを一体化させるため、接合部を溶解させ接合します。金属の材質や板の厚さや形状などに合わせて最適な溶接方法を選択します。
溶接加工は金属に熱を加えるために熱ひずみが発生してしまいやすい工程で、仕上がりに影響を与えないよう作業を進める職人の熟練技術の見せ所でもあります。
(6) 仕上げ加工
溶接で発生した熱ひずみの除去など凹凸部分をグラインダーや精密やすりなどで削り落としたりと溶接面をならして平らに仕上げたり、メッキ・塗装等の表面研磨処理などを行います。
(7) 組立・組付け
複数の部品からなる製品などに関してボルト・ナットやリベットなどの締結部品を使用して組み立てを行います。
(8) 検査・納品
寸法や外観などに問題がないか必要な検査と点検を行い、納品を行います。 加工を担当した人物が検査を行うと先入観からミスやサイズ間違いなどを見逃す可能性が高まりますので、第三者に行ってもらうのが望ましいです。工場によっては検査に画像測定器や三次元測定器を用いることもあります。
ヒガメタルは大田区のものづくり企業として、板金加工のご依頼も頻繁にお引き受けしています。 お気軽にご相談ください。