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ものづくり基礎知識19 熱処理と表面処理について
2021年12月27日
ものづくりの現場で、材料の形を変えずに熱を加えることで材料の性質を変える加工法を熱処理と言います。
金属の組織構造を変えて硬く粘り強くしたり、逆に軟らかくしたりすることで、加工に役立てます。
また、材料の表面に薄い膜を生じさせ、新たな性質を加える加工は表面処理と呼ばれます。 今回はそんな熱処理と表面処理という2つの加工方法について紹介します。
熱処理の種類と特徴
熱処理は基本的に「加熱」「保温」「冷却」の3つのプロセスで行われ、そのやり方を変えることで性質を変化させます。
加熱の速さ、加熱温度、保温時間、冷却の早さといった条件を変えることで金属を硬くしたり、軟らかくしたり、元の状態に戻したりすることができます。
- 「焼入れ・焼戻し」全体を硬く、粘り強くする
- 「焼なまし」全体を軟らかくする
- 「焼ならし」組織を標準の状態に戻す
- 「高周波焼入れ」「浸炭」表面部分だけを硬くする
以下、それぞれの加工法の特徴を説明します。
1. 「焼入れ・焼戻し」
材料は硬くなるほどもろくもなるという性質があり、そのもろさを解消するために行うのが焼入れ・焼戻しです。
焼入れでは炭素を含む鋼材に熱を加えて、水や気体などを利用して急速に冷やすことで、硬さを向上させます。 その焼入れを行った鋼に、金属の組織を安定させ意図する粘り強さを与えるため、一定の温度を加えます。その温度には低温(150~200℃)で行う場合と、高温(400~600℃)で行う場合とがあります。
2. 「焼なまし」
材料を軟らかくするために行われる処理です。
焼なましには金属の組織を均一にする役割もあり、加工ムラや反りを防ぐことにもつながります。 焼なましには目的に応じてさまざまな種類や方法が存在しますが、最も一般的に行われるのが完全焼なましで、組織を軟化させて軟らかさを金属に与えることができます。
3. 「焼ならし」
焼ならしは材料の組織をもともとの標準状態に戻す処理です。
金属を鋳造・鍛造・圧延といった方法で加工すると金属内のひずみにより組織が不均一になり、機械的性質が不十分になります。
高めの温度で再加熱し空冷することで金属内の組織の不均一を直し、性質を向上させます。
4. 「高周波焼入れ」「浸炭」
これまでの3つの方法と異なり、必要な箇所だけに施す処理です。
高周波焼入れでは、材料の一部にコイルを巻いて高周波電流を流して表面を瞬間的に加熱して金属の性質を調整します。 浸炭はユニークな熱処理で、炭素量の少ない軟らかい鉄鋼材料の表面に、炭素をしみ込ませてから焼入れを行い、中心は軟らかいまま表面だけ硬くすることができます。浸炭はパチンコ玉の製造などで活用されています。
表面処理
熱処理と異なり、材料そのものの性質を変えるのではなく材料の表面に膜をつけて新たな性質を加えるのが表面処理です。
もっとも一般的なのが金属のさび防止用の処理になります。
表面処理は大きく「塗装」と「めっき」の2つに分類でき、塗装では樹脂系の塗料を表面に塗る処理で、めっきでは材料の表面を金属の薄い膜で覆う加工になります。
汚染と腐食から材料を守るだけでなく、装飾性を高めることもでき、製品の品質を高めることにつながります。
上記のような熱処理や表面処理もヒガメタルでは自社や協力工場で積極的に行っています。 ヒガメタルでは大田区のものづくり企業として、お客様の事情や納期を踏まえ最適な加工方法を選択して製作を行っていますのでお気軽にご相談ください。